3人の美女

昨日は、また別の駅に行ってみた。女性に人気だという中央線のとある駅だ。ぼくはいつも、はじめていく場所では、イヤホンをはずす。というか、ふだん、電車にのるときはだいたい、音楽を聞いている。音楽を聞かないと、スマホでニュースをいじり倒すことになる。

昨日は、斉藤和義を聴きながら、駅に降り立った。改札が見えたのでイヤホンをはずす。この第一印象がすべてだ。改札を出た瞬間の印象で、その駅が好きかどうか、だいたいわかる。ここに住みたいのかがわかる。

さて、ここは。おっと、天気がいいのもあってか、さわやかな風が通り抜けた気がした。北口と南口があって、南口が少し賑やかだが、北口には通りにそって緑の木々が見える。好きかもしれない。

学生たちが通り過ぎる。元気だ。

駅前のスタバに入る。なんとか席もあいていた。

8人がけの大テーブルでは、半分くらいの人がパソコンを開いている。隣の人は、小説を書いているのか、原稿らしきものを見ながら、パソコンに打ち込んでいる。逆のとなりの人は、すごい勢いでタイプしている。本当にすごい勢いだ。ずっとだ。こんなスピードでできる仕事があるのだろうか?

ぼくもパソコンを開く。気がつくと、ぼくのタイプもいつもの5割増しぐらいになっていた。となりにつられているのだ。生産性が上がっている気がしてしまう。

2バースを終え(1バースは1時間)、散歩をすることに。商店街があったので歩く。普通の商店街だ。でも賑やかだ。賑やかなのはいい。賑やかなだけで、歩いている時間が気にならなくなる。気がつくと、商店街を抜けていた。

しかし、ひとつ気になるのは、どうも人びとの表情が暗いような気がすることだ。ここは人気の駅でもあって、住んでいるのはみんな、それなりにお金があるというか、少なくとも極貧のひとたちではないはずだが、どこか、生活に疲れたような顔をよく見た気がした。

うーん、ちょっと思ってたのと違うのかな? いや、これが現代東京のスタンダードなのかな?などと思う。

もちろん、通り過ぎる高校生たちは元気にはじけていたし、小学生たちは、なぞの遊びをして、大声を出していた。

いろいろ歩き回って、気がつけば、夕方近くになっていたので、そろそろ帰ろうと思うが、そのまえの1バース仕事をすることにする。また駅前の別のカフェに。安いが、コーヒーがまずい。

となりの席で男の人ふたりが何やら熱く議論している。イヤホンごしにも聞こえてくる。どうやら、テレビドラマかアニメかだかの、脚本の話し合いをしているようだ!にわかに興味をひかれて、聞き耳をたてるが、なんのどういう物語なのだが、ちっとも把握できなかった。

でも、こういう話し合いがとなりの席で行われていた、ということだけでも、この街のポイントは僕の中で急上昇した。

そして、帰り。改札へむかうとき、そろそろ会社帰りの人が降りてくる時間帯。駅は早歩きの人びとで混雑。人をかわしながら、歩く。東京に来て間もないので、ぼくの人をかわす技術がまだ追いつかない。なんどもぶつかりそうになる。

しかし、しかし、駅の敷地に入って改札を抜けるまでのわずか数十メートルで、3人もきれいな女の人とすれちがってしまった。

やっぱレベル高えかも。

これは今度は夜に来なければならない、そう思いしめて、街をあとにした。

夜、かっぱえびせんを一袋たべてしまった。

朝、胃もたれで後悔している。