台北

台北滞在3日目です。今日帰ります。

 

昨日はウォーキングツアーに参加してみた。2時間位で街の一角を歩くのだ。ガイドがついて、建物の歴史などを教えてくれる。

博物館、228事件の記念公園、総督府と、昔ながらの市場と、若者の街西門をめぐった。

ここでも、日本の関わりを意識させられる。最初の博物館が、もうすでに日本が植民地時代につくった建物だという。ガイドが、後ろに見えるのが、博物館で、台湾の伝統的な建造物の1つです、と言うと、参加者の西洋人たちから、ノ〜という声があがる。たしかにそれは、どこからどうみても、西洋風の建物だからだろう。ガイドは、でも、これがまちがいなく台湾の旧跡の1つなんだ、と言った。

ガイドは大学生の女の子2人だ。英語が流暢だ。

僕の英語力では半分くらいしか聞き取れないのだが、僕なりに聴きとったところでは、日本の植民地になって、日本人が支配層になって台湾人が非支配層になった歴史は喜ばしいものではないが、日本が台湾を立派に開発してくれてそれが今の台湾の発展につながったのだ、的な受け止め方、つまりは教えられ方をしているようだった。

228事件の記念碑を見て、総督府へ向かう。大きくて立派な建物だ。いまでも大統領が使っているという。これも日本がつくった建物だ。

もしかしたら東京でも、めぼしい古い建物をめぐれば、西洋建築ばかりなのかもしれない。国会議事堂、東京駅など。日本の近代の歴史が、西洋とのかかわりの歴史であるのと同じくらい、台湾の近代の歴史は、日本とのかかわりの歴史なのかもしれない。日本をとおして西洋の文化と技術を吸収したということかもしれない。

古い商店街へ向かう。せまい路地の両側に服屋や靴屋がところせましと立ち並んでいる。ガイドが、日本と似てる?と聞いてきたので、すごく似てると答える。

台湾オリジンの飲み物であるという、寒天入りのレモネードを飲む。すごくおいしい。続いてビール味のアイスクリームを食べる。妙な味だ。ガイドが食べているアイスを味見させてもらったら、すごくおいしい。でも食べたことがない味。釈迦頭(しゃかとう)という果物の味だそうだ。形が釈迦の頭ににている、見慣れない果物だ。

こういうツアーに参加するのは初めてだった。いつも一人旅のときは、街をやみくもに歩きまわるのが好きだからだ。気の向くままに歩いて、気の向くままにカフェに入る。そういうスタイルが好きだった。でも今回は、なんだかガイドブックを開くにも面倒な感じに疲れがたまっていて、なんとなく人恋しかったので、ツアーに申し込んでみた。

最初、参加者があつまったときは、年齢層も高く、みんな押し黙り、なんだか思ったのと違うかも、途中でこっそり消えちゃおうかな?とか思う。笑顔であいさつしても、あいさつを返してくれない人さえいる。俺以外は白人だ。なんかアウエーでいやな感じだ。残念ながらいればテンションを多少高めてくれるであろう妙齢の女性などはいない。みんなどちらかというと暗い顔をしている。なんか、観光の負け組が集まってきてしまったように感じだ。

それから3時間後、ツアーが終わり、10人あまりの参加者のうちの3人とぼくはコーヒーを飲んでいた。仲良くなっていたのだ。そのままご飯を食べに行き、ローカルフードを楽しんだ。結果、参加して本当によかったと思った。

こういうことはよくあるな、と思った。どうやら僕は最初はなんでも悪い未来ばかりを考えてしまうらしい。というか、いちいち考えすぎなのだろう。カナダくんなどは、かつて台北に留学して3年間住んでいたのだという。なんでそんな君がこんなツアーに参加してるんだ?と聞くと、なんだか退屈だったから友だちでもつくろうと思って、と言う。そんなんでいいんだ、と目からうろこが落ちる思いがした。

そして最後はカナダくんと夜市へいく。めちゃくちゃ大きな夜市だ。よくこれだけの規模の夜市が毎晩、毎晩、開けるものだと思う。東京でもこんな規模の夜市は成立するだろうか? 見渡す限り、食べ物、食べ物、熱気と匂いがむんむんで、食べ物の匂いで酔いそうになる。気がつけば10時を回っていた。歩きすぎて足が痛いので、今日はこれで切り上げることにする。おいしいとすすめられた、肉まんみたいなパンを買ったが、満腹すぎてまだ食べられていない。

 

といろいろ書いてきたが、昨日温泉に行ったことはまだ書いてないことに気付く。台北にいる友だちと合流して北投という温泉に行ってきたのだ。ラジウムがすごいらしく、日本では秋田のどっかの温泉にしかないお湯なのだという。たしかに効能がありまくりっぽい感じのお湯だった。なんかとろみさえありそうなお湯だ。熱すぎて最初はひざまでしか入れない。足を入れてはひっこめ、足を入れてはひっこめをしていると、おじさんがやってきて、そこは熱いですからあちらにいかれるといいですよ、ときれいな日本語で教えてくれた。そんな温泉街が都心から電車で30分なのだ。台北、なかなかの実力だ。

台北は今日も曇っている。曇っているのは空だけじゃに気がする。空気全体がけぶっている。こういう場所なのだろうか。そこはどうも好きになれない。湿度も高すぎる。でも、台北は思ったよりずっと都会にして、ずっとコンパクトだ。全体が下北沢みたいな感じというか、がんばれば歩いて回れるような距離感に都心が収まっていて、すごい密度でカフェやなんかがそこかしこにある。つまり、住みやすそうな街ではあるな、と思った。