安保法案が通る

安保法案が今夜にも採決されそうだ。

ぼくはこの法案が後々、やっぱり必要だった、と評価される可能性はあると思っている。

だが、いまこの法案を通す必要性を、政府は国民に説明できなかったという事実はゆるがないだろう。

説明する気がなかったのかもしれない。おそらくそうだろう。この、説明する気がなかった、あるいは、説明することに失敗したという点をもってしても、この法案は今国会で通すべきではないのだ。

安倍政権が、そんなに急いで法制化するほど危機が迫っているというわりには、その説明に失敗しつづけているのはなぜだろうか。

前にも書いたけど、それを説明するには中国を仮想敵国のように言わなければいけない、だがそれは外交上好ましくないので言わない、だから、そのへんは野党も国民も察してほしい、ということなのだろうか。

でも、それにしては、どうか察してほしい、という切実な態度も伝わってこなかった。ただ、国民を小馬鹿にしているような、国会答弁ばかりが、安倍首相、岸田外務大臣、中谷防衛大臣、横畠法制局長官の口から、マシーンのように繰り返されるばかりだった。

安倍さん、横畠さんはともかく、岸田さんは優秀な政治家に見えるし、中谷さんは正直な人柄を感じさせる。でも、答弁は何を言ってるか理解できないような言葉が並んだ。

安倍さん、岸田さんは、その奥底に、ぜったい可決するまで押し通す、という強い意志を感じた。

中谷さんは、とりあえず自分の役割だと思っていることを誠実にやっていこう、という気持ちを感じだ。ただ、その役割とは、この法案を無事通すこと、というだけであろうことが残念だ。

横畠さんなどは、優秀そうな人だが、俺は知らない、俺は俺の権限の中で、指示されたことをせいいっぱいやっているだけ、という開き直りを感じだ。

野党はどうかというと、一生懸命やっている人が多いと感じだ。でも、本当に本当の話し合いを開こうと必死に安倍政権を説得している人は見受けられなかったように感じだ。もちろん、それはとても難しいし、腹ただしいことなのかもしれないが。

つまみ食いのように見ただけの国会中継なので、あくまで印象論になってしまうが、そういう風に僕は見ていた。

なんでこうなってしまうんだろうなー。大事なことならもっとちゃんと噛み合った議論をして、ちゃんとわかりやすく説明してほしいのになー、と思いながら見ていた。

ただ、それは、国会の外でも同じようだった。テレビの討論番組などを見ても、法案に賛成、反対、両陣営がそれぞれの主張を述べるだけで、話し合って最善策を考えよう、だとか、共通認識を構築していこうという姿勢は見られなかった。もちろん、番組の作り方がそうなっていたのかもしれないだ。

結局、どちらもすこしも歩み寄らなかった、というか、まだ何のことだかよくわからないうちに、賛成派と反対派に別れているようにも見えた。こんなにわかりにくいのだから、賛成と反対を行ったり来たりしてもいいはずだが、と思う。

僕は、法案そのものは、絶対反対じゃない、というのは前から書いてきたとおりだ。ただ、不備がありそうだ、ということで今回は反対している。

集団的自衛権違憲かもしれない問題もそうだし、軍法を整備せずに自衛隊の活動範囲を広げるのも危険なことだと思っている。

結局のところ、やっぱり、なんでこの11本がまとまった法案を、こんなに急いで通す必要があるのか、わからなかったし、噛み合った議論も聴くことができなかった。

でも、なんとなく、いつもこうだよね、国会って、という気持ちもあって、とりあえず、次の選挙で俺がどうするかは腹づもりがあるけど、国民の多数はどういう判断を下すのかな、と思っているところだ。

しかし、なんでこうなるのかなーーーー。政治家がこうなってしまうメカニズムが日本にあるのだろうね。個人の資質の問題とかじゃなくて。。