花粉症の薬をもらいにいった話

僕はなるべく薬を飲みたくないと思っている。でも、目が猛烈に痒い日が数ヶ月続いて、このままでは目が壊れてしまう。こすり過ぎてキズキズになってしまう。そういう諦めから、ついに病院へ行った。花粉症で病院に行くのは実に10年ぶりくらいだろう。昔はいろんな病院をドクターショッピングしたものだった。それほど花粉症がつらかった。とくに、当時はコンタクトレンズをしていたから、目の痒みは致命的だった。いろんな医者に通って、いろんな検査を受けて、いろんな薬を飲んで、いろんな目薬を指してきたが、ほぼ、効かなかった。

で、あるときから病院に行くのを辞めてしまった。そして、こううそぶいていた。子孫のために、俺の体で免疫をつくる。

だが、おれは西洋医療の軍門に下ることにした。あれから10年、もしかして医療が進歩しているかもしれない。近所の内科へ歩いていった。歩いたら、気持ちがよかった。歩いたらなんで気持ちがいいんだろうか。気候がいいからに間違いないが、歩くという動作も重要な気がする。とはいっても、体育館やジムの中をぐるぐる歩きまわっても、いくら空調がベストな温度に設定されていたとしても、ああ、気持ちがいいな、とは感じないはずだ。

そして、超近所にもかかわらず、今日通った道は、ここは初めて通った?というほど見覚えのない道だった。おそらく、中学生以来とかじゃないのか。かなり風景が変わっていた。簡単にいうと、きれいな家が増えていた。

やはり新しい風景は楽しい。風景が移り変わるのは楽しい。ああ、自転車でも買ってみようかな、そんな感じで10分もあるくとついてしまった。

診察もあっという間に終わった。花粉症ですね、お薬出しておきます。目薬もいりますか? いりますいります。

果たして、夕食後、薬を一錠飲んだ。効くだろうか。俺の場合、目安は目のかゆみだ。目薬も指した。今のところ、いい感じに痒みは軽くなっている。そして、この抗アレルギー剤、眠くなるかもだから注意と書いてある。しめしめ、いいじゃないか。睡眠薬に使えるんじゃないか? 夕食後に飲んで、かれこれ7時間ほどたつ。ずっとちょっと眠い気がしている。でも、おれの眠らない根性はすげえぞ。花粉症の薬なんかが効くとは思えない。だが、なんとなくうれしい。明日からは、寝る前に飲むことにしよう。

眠れない理由はわかっている。眠るまぎわ、眠りたくない、という強烈な意識が働くのがわかるときがある。眠れば、起きてしまうからだろうか。とはいえ、そんなこんなで朝まで起きていて、へとへとになったら、そこから普通に7時間半、眠るのだ。バカみたいな体だ、と思う。体じゃなくて脳、と言ったほうがいいか。バカみたいに頑固なのに、バカみたいに単純だ。

おれはもう闘うのをやめている。本格的な支障が出るまで、治そうとはしないだろう。会社に勤めているときでも、眠れなかった。だから、生活習慣を整えればいいという意見にはうなずけないのだ。よく、朝まで眠れず、呆然としながら会社へ行ったものだ。時計が進むのがなんて遅いんだろうと泣きたい気持ちになったり、トイレで5分位寝てしまったりしたものだ。バリ島にいるときは、毎日のようにサーフィンをしていたのだ。でも眠れぬ日々は直実にやってきた。だから、運動不足なんだよ、と言われても、ウンと言えないのだ。もちろん、運動はしたほうがいい。いくらか改善はするだろう。でも、それだけじゃない何かが必要なんだ。(と一応言っておくが、やっぱり運動で改善するかもしれない、とも思えてきた。運動と生活リズムの両方がそろえば、あるいは。その組みあわせは試していないことに、今、気がついた)

でもね、いいんだ。本当に必要に迫られれば、なんとかするものさ。そういうふうに生き物はできてるんだと信じたい。そうでないなら、もうどうしようもないんだけど。

そんなこんなでなんだか、今年は、今年こそは、海が呼んでいる気がするんだな。ある意味、封印してきたけど、もういいか。海と仕事は関係ないわw