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こんなことがどうしてできなかったんだろうと言いたい

最近、暑いので車によく乗るようになった。レイのマクドナルドへ行くのだって車だ。春先などは、イングレスにはまっていたこともあり、遠くまで歩くのを趣味のようにしていたが、Ingressはもはや僕のスマホで動かない産物となった。スマホが古すぎるのだ。iPhone4だ。4sじゃないぞ、4だぞ。もう動かないので、必然的に飽きた。

しかし、感慨深いもので、車を運転できるようになるとは、半信半疑だったころがある。そんなに昔じゃない。わずか5年ほど前だ。俺は根っからのペーパードライバーだった。学生時代に一年半かかって免許をとったあと、ほぼ一度も運転せずに生きてきた。車はいらなかった。し、嫌いだった。車は嫌いだった。子供の頃から、車は敵だった。車に酔ったのだ。だから嫌いだった。第一匂いが嫌いだった。あの、ガソリンと、プラスチックと、芳香剤のまざったような、不快な匂い。タクシーなどは最悪だった。まだ、Kトラックの、無骨な、鉄とガソリンの匂いしかしないほうが、酔わなかった。

まあいい。そん俺であるか、あ、そのまえに子供ネタもうひとつ。子どもって、男の子って、車派か、怪獣派に別れるんじゃないかな。物心ついたころから、車が大好きな事、怪獣とかウルトラマンとかにはまっていく子と。親がよく、俺は車に興味を示さなかった、と言う。周りの子がスポーツカーとか、カウンタックとか言いながら、ミニカーや車の絵本で興奮している横で、おれは怪獣消しゴムでひたすら架空のバトルを展開していたのだ。根っからの怪獣派なんだ。自慢じゃないが、まだ怪獣消しゴム持ってる。

で、話を戻すと、車だ。5年前、彼女とキャンプに行くことになった。当然運転は彼女だった。文句もいわず運転してくれた。GWで片道10時間かかった。でも、楽しかった。でも、やっぱり、このままではいけない、とガラにもなく思った。そして、ネットで調べて、ペーパードライバー講習を受けたのだった。

5回くらいはやったと思う。なんとか乗れるようになって、レンタカーを借りて、彼女の家に遊びに行こうとしたら、渋滞にはまって、3時間かかった。ご機嫌はななめになっていた。ということもあって、いつしかまだ、車嫌いになっていた。

簡単にいえばペーパードライバーに戻った。

そのとき、俺はもうずっとペーパーなんだろう、と少し思った。だが、最近は普通に車に乗っている。まだ緊張するから疲れるが、あれ、こんなことがどうしてできなかったんだろう、と思う程度には慣れた。

こんなことがどうしてできなかったんだろう。

いつかそう言えると思って、翻訳を一応仕事としてやってきた。もう4年たつ。だが、まだ言えない。なぜだ。悔しい。思ったより全然できねーっていう日が3日に1回くらい来る。楽勝と思えた日は一度もない。それは、べつに、贅沢を言っているからじゃない。そんなに高いレベルを目指しているわけじゃない。歩合の仕事なんだから、ある程度ペース良くなっていかないと、どうしようもない。だけど、すぐに脳がいっぱいになるんだ。早く言える日がくるといいな、それとも、やめる日のほうが早いか。こんなことがどうしてできなかったんだろう、といえる日が来るのだろうか。

人生は、思ったより簡単だったことより、思ったよりできない、ことのほうが重要だから困る。思ったより簡単なことで生きていけたらよかったな。

車の運転はいい。だって本当はどこかでわかっていた。見渡せば、おじいちゃん、おばあちゃんだって運転してる。あんなどんくさかった奴でも運転してる。だから、どんなに今はそう思えなくても、自分だって慣れさえすれば、普通程度には運転できるようになることが信じられる。だから、どっかで、時間の問題なんだ、慣れの問題なんだ、本当は負けっこない試合なんだということはわかっていた。

そうか、本当はやればできることなのかもしれない。大勢の人が、やれていることなら。