軽い罪悪感の日

2週間ばかり前になるが、奥居香さんがMを歌うのを間近で見ることができた。たまたま、新作アルバムのプロモーションでモールに来ているのに遭遇したのだ。やはり、Mはよかった。

そういえば、先日Mについてブログを書いたばかりなので、不思議なものを感じた。というか、単純にうれしかった。

さっき奥居香と書いてしまったが、垂れ幕には岸谷香と書いてあったので、訂正しなければいけないだろう。人妻なのだ。俺的には奥位香を名乗っていて欲しい気がするが、勝手な気持ちだし、それほど大きな気持ちでもない。

さっき、マクドナルドでパソコン仕事をしていたら、となりに小さな子を連れたママが来て、子どもが大きな声ではしゃぐのをしきりにたしなめていた。俺を気にしているようだった。気にしなくていいですよ、とか言おうかなとも思ったが、なんとなくわざわざこちらから言うのもおかしいかな、とか思いつつ、気にしていないというメッセージを全身からただよわせるように、少しわざとした。

ママがトイレにたったすきに、子どもとアイコンタクトをして、にっこり笑ってやった。お前たちのこと、ぜんぜん気にしてないから、気にせずはしゃげよ、というアイメッセージだ。うまく伝わったかなと思うすきに、ママが帰って来てしまった。

見られた。

もしかしたら、俺が子どもにメっと怒っているかのように思われてしまったかもしれない。冷や汗が出る。が、意識的にニコニコしてみたいので、たぶん大丈夫だろう。

とかなんだかいいつつ、やっぱりマクドナルドは家族連れや学生の場所であり、ちまちまパソコンいじってる俺が場違いなんだよな、と思いながら、でもまあほかにも2,3人同じような奴がいるな、と胸を若干なでおろしながら、仕事に集中したりしていたら、誰かに声をかけられ、はっとなった。

となりのママだった。うるさくしてごめんなさい、というようなことを言ったようだ。しまった!言われてしまった。と汗が出た。それを言われないようにボディーランゲージでがんばっていたのに、やっぱり、気にさせてしまっていたのだ。おれはとりつくろうに子どものほうを見て、子どもは元気なほうがいい、的なことを口走るが、なんだか意味が噛み合ってないような気がしたし、なによりも、慇懃ないやみに聞こえてしまったらどうしよ、と思って焦った。じわっと汗が出るのを感じたとき、おそらく2歳くらいのおそらく妹のほうが、ばいばーい、と言って、手を差し出してくれた。

おお、救世主。俺は、じゃあ、ばいばいなー、的なことをもぐもぐ言いながら、子どもとハイタッチをした。(こどもはハイだが、俺にとってはロータッチ)

ついでにお兄ちゃんのほう、推定4歳、にもロータッチをしようと手をだしたのだが、お兄ちゃんのほうは笑顔こそくれるものの、手を出さなかった。おお、もうそういう歳か、大人だ、とたじろく。ふと、ママを見ると、困ったようなエヘヘ笑いをしていた。

美人だった。

総合的にいえば、負けた、と思った。そういう後味が残った。もうお昼時にマクドナルドに行くのはよそう、と思った。マクドナルドは子連れママさんのオアシスであるべきなのだ。

それからホームセンターに家の玄関につける網戸をチェクしに行く。めぼしいものがない。うちは引き戸なのだが、引戸用の網戸はなんか高いものばかりなのだ。うーん、どうしようかなー、開き戸用を無理やりつけてやろうかな、と悩んでいると、少し離れたところに、うーんとうなっているおじさんが一匹。店員とのやりとりを聞いていると、網戸を買おうとしたのだが、網戸の外枠もついていると思い込んでいたのに、ついていないと聞かせれて、えっ、となっていたところらしい。おじさん、そうかー、そうなのかー、と落胆しながら、あきらめきれないようで、店員にお引取りを願ったあとも、巻き尺を取り出していろいろ計っていた。俺はにわかにおじさんがチェックしている網戸をチェックしたくなったが、待つのもなんだし、近づいていっておじさんにプレッシャーをかけるのもなんだし、あきらめた。

そして、近所にオープンした最近の新しい職場、あおい珈琲にやってきたわけである。今日は合計3回、車を駐車した。すべてバックせずに駐車できる場所に停めてやった。わざわざ停めにくい場所に止める必要などないからだ。だが、こんなことでは一向に駐車が上達しない、という罪悪感を、どう扱ったらいいか、決めかねて、暑い暑いと言いながらお店に入る。応対に出た店員が、おや、知ってる顔だ、的な反応をする。そろそろ常連だ。今日は暑いし珍しくアイスコーヒーだな、と思って席につくが、冷たい水がサーブされるのを見て、ホットコーヒーに切り替える。ただし、今日は炭焼きだ。そんなくだりを何十回とやってきたな、とまた軽い罪悪感を覚える。

今日は、罪悪感の日なのだろうか。