昼寝の瞬間に起きたこと

きのう、食後に少し横になってうとうとしていたときのことだ。Kindleで本を読みながら、寝るなら少し寝てもいいし、寝ないなら寝ないでいいやという感じでいた。

 

気づいたら、家の近くの道路のわきを、家に向かって歩いていた。夜、あるいは夜になる直前といった空だった。黒いうより、紺色に近い感じの空だった。すると、左から右へ、上空を何かが編隊で飛んでいくところだった。光の点が、渡り鳥のように三角形の編隊を組んで、左から右へ、空を横切っていく。そのすぐ後ろから、同じような編隊を組んだ光の集団が追いかけていた。すると!後ろの編隊から、光の弾のようなものが一斉に発射された。前の編隊を攻撃しているようだった。昔の、チープなビデオゲームみたいな感じだ。

お、これはUFOじゃないの??とドキドキしていると、僕はもう家の敷地に入っていて、道路から少し盛り土しているところを上がっていくところだった。前方にうちが見えた。家の中に家族がいるはずだ。そのとき、ぼくは胸が苦しくなるような感じを覚えた。下を向いて、顔をあげられなくなった。強引に上げればあげられただろうけど、ぎゅーーっと体を縮ませるような内力が働いているようだった。悲しかった。とても悲しかった。どうやら、世界が終わるようだ。いや、本当に終わるとはわからない。だけど、もうすぐすべてが失われるのがはっきりとわかっていた。ひとりぼっちになるのだ。それは何か事件が起きるということではなく、世界はそういうふうにできているからで、ただ、そのことが、いま、ことさら突きつけたれただけなのだ。

いや、そういう言い方は正確ではない。この世界は、こちらの世界と言う方がいいのかもしれないが、この、そらが紺色の世界では、いつもこのように夜になったばかりのような明るさの世界が、空気が濃厚で、最初から、すべてが失われる前、世界が終わる前日が永遠になっている世界のようだった。

だから、ここにいる間は、ずっと胸が苦しいのだ。僕はなぜか、この世界に迷い込んでしまった。あるいは、ずっとここにいたのに、ずっと知らないでいただけの感じがした。どうしてこんなに悲しいのか、と思うが、そんなもんだよ、という諦観も出てきて、少し気を取り直せたような気がした。

すると、おや?と疑問がわいた。もしかしてこれは、夢の中なんじゃないか? そういえばさっき、昼寝をしようとしていたんじゃなかったか? そうだ、そうに違いない、これは夢の中なんだ。

ラッキー〜!夢の中で夢に気づくなんてそうそうない。それに、この悲しさも夢だとすれば安心だ。よし、じゃあそういうことなら、夢から覚める前に、自分を見に行こう。きっと家の2階で寝ているはずなのだ。玄関まであと数歩だ。もうすぐ手がかかる。あと二歩、あと、、、

ということろで、意識がもうろうとしてくる。体が左右に揺れ、前に進めない。やばい、、これは、届かないか、

あとちょっと、あとちょっとで玄関に手が、、、

というところで、夢から覚めていた。ああ、やっぱり覚めちゃったか。そう簡単に夢の中で自由にはできないものだ。夢と気づいたあたりから、夢が冷め始めたのをなんとなくわかっていた。

そうだ、そういうもんなんだよ、と納得させるも、少し不満が残っていた。まだ頭がしびれていた。どうやら、夢を見ていたというよりも、寝入る寸前で起きてしまった、という感じらしかった。

ずーんという気だるさと、頭の重さが残っていた。

 

よくある話しだろう。前にも似たようなことがあった気がするし、とくべつ大した経験でもない気もする。

少し、内容がなにやら宗教的、あるいは深層心理的である気がしないでもない。つまりは、こういうことだろう。この世界は、ほんとうは、紺色の世界なんだよ、いつだって本当は孤独なんだよ、ということだろう。あるいは、いつかは孤独になる、誰ともお別れしなくてはいけないという、まあ、よくある話しを見たということなのかもしれない。

なぜ俺がこんなに冷めているかというと、人はいずれ死んでしまう。命の時間には限りがある、などということは、もう何度も思い直したけれど、それで何か重大な行動が起こせたということは、んーあんまりなかったような気がするからだ。ジョブズのようにはいかないものだ。

こんな夢もどきを見た理由はわかっている。おそらく、久しぶりにハードSFを読み始めたからに違いないのだ。宇宙人もきっちり出てくる。今夜もSFを読みながら、眠るつもりだ。