パスポートが終わる

ふと、パスポートを眺めていたら、重大な事に気づいた。10年パスポートの期限がもう来年に迫っていた。おっと危ない。旅立つまえに更新しておかなくては。有効期限が半年未満のパスポートでは入れない国もいくらかあるのだ。

 

1ページ目をみると、2006年4月3日、成田の出国印が押されていた。同日付で、カナダのバンクーバーに入国している。忘れもしない、僕の”世界放浪”の始まりだった。””でかこったのは、欧米風に解釈してほしい。それはちっとも放浪とはいえない代物だったのだ。だが、出かけるときは、放浪満々だったのは確かだ。ぼくは、一年間の旅行保険を契約し(ちゃっかり旅行保険に入るところがもう放浪でもなんでもないんだが)、カナダ経由、ニューヨーク行きの航空券を握りしめて、成田の搭乗口に座っていたときのことを思い出す。

ぼくは、たしか哲学の師匠に電話したんだ。今から行ってきます、と。ニューヨーク行きのチケットは7日間のFIXだ。もちろん一週間で帰るつもりはない。つまり、片道キップなのだった。

ページをめくろう。カナダでは、留学中の会社員時代の同僚を訪ねたのだ。そして、2日後の4月6日、ニューヨークはケネディ空港に着陸したはずだ。そんなスタンプが押されている。

と、この先、メキシコ、キューバー、イタリアと旅をしたはずなのだが、スタンプうまく見つけられなくて、急に面倒になった。なんかページをいったりきたりして押してやがるんだ。なんでそういうことをするのかな?あれから、各国それぞれ、自国の出入国のスタンプを同じページに押そうとしているフシがある。それが数年をまたいでいてもだ。なにげに、怪しい出入国者をチェックする工夫を各国の管理官がやっていたんだね。それで、こんなバラバラにスタンプ押されたのか。いまごろ気づいたよ。

 

まあ、とにかく、この十年はよく旅をしたと思う。といっても一冊のパスポートに収まる程度ではあるが。新しいパスポートにできるのがなんとなくうれしい。

 

いま、おれのマイブームは黒柳徹子さんだ。窓際のトットちゃんをはじめて読んだが、傑作だった。あれが世界中に読まれたことが、すごいな、いいことだな、と思った。